つくばちびっ子博士 2009を開催
2009.08.18
(2009.08.19 更新)
NIMSでは、2009年8月18日に、つくば市およびつくば市教育委員会の主催で毎年開催されている「つくばちびっ子博士」の参加機関として、小中学生が参加する実験イベントを開催しました。
実験の様子
小中学生が、学校の授業ではなかなか体験することのできない先端材料の科学実験に触れる場として、NIMSでは一般公開とともに人気のあるこのイベントですが、年々参加希望者が増えており、今年の参加希望者は実に定員の3倍以上の方にお申し込みいただきました。
形状記憶合金について学ぼう
初回コースの「形状記憶合金について学ぼう」では、形を変えても一定の温度に置くともとどおりの形にもどる不思議な金属“形状記憶合金”を使用したいろいろな実験が、佐藤守夫研究員の解説のもと行われました。
形状記憶合金マドラーを利用した実験の様子
実験器具を置いた机の前では、この不思議な金属に大いに興味を持った子供たちが、お湯や冷水に浸したりドライヤーで温風を吹き付けたりしながら、その形状変化や復元する力の強さを観察して実験を楽しみました。
また、形状記憶合金バネの温度による力の変化を利用した案内表示器具の前では、最初に冷却スプレーをバネに吹き付けて案内表示を変化させた後に、今度は息を直接吹いて暖め、表示をもとにもどす実験も楽しみました。
バネに冷却スプレーを吹き付けると、案内表示が「凍結」に変化し、息を吹きかけるともとどおりになる様子
金属の不思議
二回目のコース「金属の不思議」では、身の回りにあるさまざまな金属について、条件によってその性質が変化する様子を調べる実験が、御手洗容子研究員の解説のもとで行われました。
金属を叩いて性質の変化をみる実験の様子
まず、外部から力を加えることで金属に起こる変化を、金床の上でさまざまな金属棒を叩くことで観察し、次にランプの火で直接熱することで金属の性質がさらにどのようになるのかを実験しました。その結果、物理的な力や熱によって金属の性質が大きく変化することを子供たちも確認しました。
硬いピアノ線もランプの火で熱して急激に冷ますと、簡単に折れる事を子供たちも理解
とても冷たい世界のできごと - 超伝導のはなし -
最後のコースの「とても冷たい世界のできごと - 超伝導のはなし - 」では、液体窒素を用いた極低温環境の下で、さまざまな物がどのように変化するか、またその中でも特異な性質を持つ“超伝導物質”についての実験が、小森和範研究員の解説のもと行われました。
極低温環境下ではおもしろい現象が見られる実験の様子
左 : バナナで釘を打つ 右 : 液体酸素中で燃える炎
超伝導現象を実験で体験する様子
左 : 浮遊する超伝導体 右 : 逆さにしても落ちない
液体窒素の-196℃という極低温環境下では、バナナや花などの水分を持つ物体は硬くなり、酸素は液体となり、鉄は縮み、また脆くなることを実験で確認しました。
一方、金属や半導体と呼ばれる物質に電流を流して電球を点ける実験では、温度が低くなると電流の流れやすさが変わること、また“超伝導物質”を電線に用いると、極低温環境下では電気抵抗がゼロになり、金属の場合と比べて電球が非常に明るく光ることを体験しました。
また、超伝導物質が宙に浮く現象や、そのまま逆さにしても落ちないという、超伝導体特有の現象を実験で初めて見た子供たちからは、驚きの声が上がりました。
また、超伝導物質が固定され、宙に浮いて逆さまにしても落ちない、超伝導体特有の性質を利用した実験をおこないました。超伝導物質がマイスナー効果により磁石の上に浮遊したり、ピン止め効果により逆さまにしても落ちない現象は、参加者の興味を大きくひき、実験終了後の自由時間もその効果を実際に体験しようと、多くの参加者が試していました。
おわりに
NIMSでは、全国の小中学生に物質や材料の不思議について体験してもらい、科学への興味を少しでも多く持ってもらうために、この「つくばちびっ子博士」に毎年参加しています。
来年も参加を予定しておりますので、今回惜しくも抽選から外れてしまったみなさまも、今回ご参加いただいたみなさまも、どうぞふるってご応募ください。