第5回 世界科学フォーラム (WSF) が開催

科学のあり方についての新たな共同宣言が発表・採択される

2011.11.17-19
(2011.12.05 更新)


平成23年11月17日 (木) ~19日 (土) にかけて、ハンガリー・ブダペストにあるハンガリー科学アカデミーにおいて「第5回 世界科学フォーラム (World Science Forum - WSF) 」が開催され、日本からは事前に招待を受けたNIMSの潮田理事長および他数人が出席しました。また、開催期間中に「世界科学フォーラム2011 ブダペスト宣言」が採択されました。

「写真 : ハンガリー科学アカデミーでの会議の様子」の画像

写真 : ハンガリー科学アカデミーでの会議の様子



WSFは、1999年に国連教育科学文化機関 (UNESCO) および国際学術連合会議(ICSU)の共催でブダペストにおいて開催された「世界科学会議」を前身とする世界規模の科学フォーラムで、2003年の第1回以降、隔年で世界各国から科学者、政府・産業界、一般市民らがブダペストに集い、科学と社会の関係のあり方や科学が直面する様々な問題などについて議論してきたものです。

「ハンガリー大統領 : SCHMITT Pal」の画像

ハンガリー大統領 :
SCHMITT Pal


「ハンガリー科学アカデミー会長 : PALINKAS Jozsef」の画像

ハンガリー科学アカデミー会長 :
PALINKAS Jozsef


「UNESCO 自然科学局 副局長 : KALONJI Gretchen」の画像

UNESCO 自然科学局 副局長 :
KALONJI Gretchen


「ICSU会長 : LEE Yuan-Tseh」の画像

ICSU会長 :
LEE Yuan-Tseh


第5回目となる今回は、ハンガリー大統領、欧州委員会、UNESCO、ICSUの後援のもと「The Changing Landscape of Science  (今日の科学を取り巻く変化) 」をテーマに開催され、日本からはIUPAP (国際純粋・応用物理学連合) の会長を兼任し、ICSUとの関係も深いNIMSの潮田理事長ら数名が招待を受けて参加しました。毎回、数多くの参加者が集うWSFですが、今回も400名近くの参加者があり、現代の科学進歩におけるさまざまな側面に焦点を当てて議論が交わされ、潮田理事長も3日間の会議を通して、各機関の要人と様々な意見交換を行いました。

また期間中には、「Declaration of the Budapest World Science Forum 2011 on a New Era of Global Science (新時代のグローバルサイエンスにおける「ブタペスト世界科学フォーラム」宣言) 」が採択され、科学が人類の共通遺産であることや、持続可能社会の実現に新たな役割を担っていることなどが宣言されました。

1999年の「世界科学会議」で長い議論の末に採択された「ブダペスト宣言 (科学と科学的知識の利用に関する世界宣言) 」では、21世紀の科学の責務として、20世紀型の「知識のための科学:science for knowledge」に加えて、「平和のための科学 (science for peace) 」、「開発のための科学 (science for development) 」、「社会における社会のための科学 (science in society, science for society) 」という新たな責務が上げらましたが、今回のWSFで採択された宣言も、それらの理念を継承したものと言えるでしょう。

3日間にわたって開催され、共同宣言の採択という成果を上げた今回のWSFですが、次回は、フォーラムが世界的なものである事を強調するために、これまでの伝統を覆して、2013年にブラジル・リオデジャネイロで開催される予定です。