サマー・サイエンスキャンプ2012を開催

2012.07.24-27
(2012.07.30 更新)


平成24年7月24日~27日の3日間、NIMSでは「金属の強さを調べよう ! ~鉄を冷やすとどうなるのか?~」をテーマに20名の高校生を迎えて「サマー・サイエンスキャンプ 2012」を実施しました。サマー・サイエンスキャンプは、科学技術振興機構が主催する、全国の高校生、高等専門学校生を対象とした2泊3日の科学技術体験学習プログラムで、今年は、20名の学生がNIMSに金属の強さを学びにやってきました。

「今年も20名の高校生が参加」の画像

今年も20名の高校生が参加




本格的な実験を通して材料の基礎を学ぶ

今回のサイエンスキャンプでは、3つの実験を行いました。

シャルピー衝撃試験 / 電子顕微鏡による破断面の観察

「シャルピー衝撃試験の様子」の画像

シャルピー衝撃試験の様子


「電子顕微鏡の画像を確認」の画像

電子顕微鏡の画像を確認


材料ごとの低温脆性 (ていおんぜいせい) の違いを調べるため、「シャルピー衝撃試験」を行いました。
低温脆性は、タイタニック号の事故原因のひとつと言われ、低温下で金属が脆くなる性質です。実験を重ねてグラフに結果の数値をプロットしていくことで、金属の温度や合金の組成、そして結晶粒の大小により、この低温下での粘り強さに違いがあることが分かります。
その後、走査型電子顕微鏡 (SEM) の構造を学び、実際にシャルピー衝撃試験で実験した試料破断面の観察を行いました。学校などにある光学顕微鏡では見る事のできない世界で、材料の組成や結晶粒の大きさの違いを観察し、低温脆性との関係性について考察します。


金属の不思議

様々な金属の違いを知るために、銅線、ステンレス線、ピアノ線、形状記憶合金など、何種類かの金属線材を叩いたり熱したりすることで、線材の性質がどのように変化するのかを調べ、また金属とダイヤモンドの熱伝導の違いを実際に体験します。学生達は、「焼き入れ」「焼きなまし」などによって、金属線材の性質に違いが出ることを体験しました。

関連画像
関連画像
関連画像

実験結果はプレゼンテーション発表

最終日は、二日間の実験から得られた結果をまとめてプレゼンテーションを行いました。

実験のまとめ/修了証

サイエンスキャンプの最終日には、実験を通して得られた結果をまとめ、班ごとにプレゼンテーションを行います。プレゼンテーション自体が初めてで緊張する学生も多いのですが、調査結果や考察を発表することも重要です。2班の発表後、研究者から質問や指摘も出され、最後は参加者全員に修了証が贈られて、今年のNIMSのサイエンスキャンプは無事に終了しました。

「プレゼン資料まとめ中」の画像

プレゼン資料まとめ中


「1班のプレゼン」の画像

1班のプレゼン


「2班のプレゼン」の画像

2班のプレゼン



その他の催し

NIMSのサイエンスキャンプでは、実験以外にも色々な催しでみなさんをお迎えします。

ピュータークラフト / 懇親会

初日のプログラム実習の終了後は、彫刻刀でレンガに好きな模様を彫り、溶かしたスズを流し込んで冷やしオリジナルメダルを作る「ピュータークラフト」を楽しみ、その後に行われた懇親会では、食事をしながら研究者や他の学生と歓談しました。

「レンガに模様を彫ります」の画像

レンガに模様を彫ります


「色々なメダルが完成 !」の画像

色々なメダルが完成 !


「懇親会で会話も弾みます」の画像

懇親会で会話も弾みます



並木地区訪問

最終日には、並木地区を訪問し、新総合研究棟のオーディトリアムでカラー電子ペーパーについての講義をはじめ、電子顕微鏡、人工ダイヤモンド、サイアロン蛍光体についての講義を受けました。2日間の実験と違い、実際に応用されている材料技術の話に耳を傾けていました。

「カラー電子ペーパーの講義」の画像

カラー電子ペーパーの講義


「人工ダイヤモンドの講義」の画像

人工ダイヤモンドの講義


「サイアロン蛍光体の講義」の画像

サイアロン蛍光体の講義



未来の研究者として

NIMSでは、サマー・サイエンスキャンプを通して高校生たちが実際に金属に触れ、そこに秘められた様々な不思議を体験して学ぶことで、身の回りにある道具や構造物に対する関心を高め、科学への興味を深めて将来新しいものを作り出す研究者を育むきっかけになることを願っています。