サンゴバン社とフランス国立科学研究センター (CNRS) が
NIMSに国際共同研究ユニットを共同開設

2014.10.27


サンゴバン株式会社
フランス国立科学研究センター (CNRS)
独立行政法人 物質・材料研究機構

フランスに本社を置くサンゴバン社とフランスのCNRSが共同開設するUMI-LINKが、つくば市に所在するNIMSに設置され、研究開発活動を開始しました。

概要

フランスに本社を置くサンゴバン社とフランスの国立科学研究センター (CNRS) が共同開設する国際共同研究ユニット (略称 : UMI-LINK) が、つくば市に所在する独立行政法人物質・材料研究機構 (NIMS) に設置され、研究開発活動を開始しました。

フランスに本社を置くサンゴバン社 (Saint-Gobain) 及びフランス国立科学研究センター (CNRS) 、および、独立行政法人物質・材料研究機構(NIMS)は、日仏間の材料科学・材料工学の交流・融合とそれに基づくイノベーションの実現を目指し、新しい国際共同研究ユニット(UMI) となる、「LINK」(Laboratory for Innovative Key Materials and Structures)を開設しました。10月28日 (火) 16時からNIMS並木地区NanoGREEN/WPI-MANA棟オーディトリアムで開催される記念式典には、ティエリ・ダナ 在日フランス 大使等も出席される予定です。

CNRSには、国際共同研究を推進するための仕組みとして、国際共同研究ユニット(UMI)という仕組みがあります。UMIは、CNRSが他の機関と共同で開設する研究ユニットです。このたび、CNRSとサンゴバンが主体となって新しいUMIであるLINKを開設することとなり、そのLINKは、日本のつくば研究学園都市にあるNIMSに開設されることとなりました。後述の通り、これまで、サンゴバンとCNRS、CNRSとNIMS、NIMSとサンゴバンという2社間の協働による研究・開発が進められてきました。そうしたなか、サンゴバン、CNRS、NIMSの3者協働によって、日仏の材料科学における協力関係の深化や物質・材料の研究・開発の加速を実現するための連携研究体制の構築についての議論が進められてきました。2013年6月に、仏・フィオラゾ 高等教育研究大臣、山本一太大臣の臨席の下に、UMI設置に向けてNIMS, CNRS, サンゴバンの3者が協働することの基本合意書(LOI)が調印されたことにより、連携の具体化がさらに加速されました。そうした3者による努力の結果、サンゴバンとCNRSが共同開設するUMI組織であるLINKを、NIMSに設置する運びとなりました。サンゴバンとCNRSは、これまでに、フランス国内での共同研究ユニット(UMR) を開設・運営してきました。しかし、サンゴバンとCNRSが共同してフランス国外に研究ユニットを開いたことはなく、LINKは、サンゴバンとCNRSによって開設される初めての国際共同研究ユニットとなります。

新しい研究ユニットの誕生は、サンゴバン、CNRS及びNIMS3者のこれまでの長期にわたる協力関係の賜物です。フランスにおいては、サンゴバンとCNRSは仏国内の オーベルヴィリエ(Aubervilliers) と カヴァイヨン(Cavaillon)のそれぞれのサンゴバン研究所内にUMRを設立しております。また、NIMSとサンゴバンは、2010年6月に調印された協定のもとにNIMS内に設置されたNIMS - サンゴバン先端材料研究センター (NIMS - サンゴバンCOEセンター) において、既に5年以上にわたり複数の共同研究を実施しております。さらに、NIMSとCNRSの間では、長年にわたってCNRS研究者とNIMS研究者の緊密な研究協力がなされてきており、2012年5月にはCNRSとNIMSの間で包括連携協定が締結され、日仏の機関によってワークショップが共催されるなど、活発な研究交流が進められてきています。

このサンゴバン、NIMS、CNRSの3者協働による新しい研究ユニットの設置というプロジェクトは、ハイレベルの研究者の国際協力関係構築の革新的なモデルです。LINKにおける研究は、新規物質の創成、即ちその合成、精製プロセス、物理化学的性質の測定などを含みます。これらの研究分野は、材料化学に関連する研究ユニットを傘下にもつ、CNRSの化学研究所 (Institute of Chemical Science: INC) がもとより得意としてきた分野であります。一方で、これらの研究は、特徴的なナノ構造の評価手法やその物性モデリング手法、さらに、ナノ材料の特徴を発揮させる材料化技術を有するNIMSの研究チームや、NIMSの卓越した研究施設・設備の強力なサポートを受けて進められることになります。

本プロジェクトはサンゴバン社の基礎・基盤的研究活動を強化するプログラムの一部でもあり、サンゴバングループの研究者のスキル向上や才能ある若手研究者のリクルートのため、国際レベルの大学や公的な研究機関との共同で遂行されるものであります。NIMSは、日本において技術者人材の育成を担う研究ハブとしての役割を担うことが期待される研究機関であり、NIMSのそうしたアクティビティーも、UMIがNIMSに設置される大きな動機となりました。

CNRSは既に日本国内に3カ所の国際研究ユニットを設けております。即ち、東京大学生産技術研究所に設置された「統合的マイクロメカトロニクスシステム研究所 (LIMMS) 」、産業技術総合研究所に設置された「AIST-CNRSロボット工学連携研究体」、国立情報学研究所に設置された「日仏情報学連携研究拠点 (JFLI) 」です。今回のNIMSにおけるLINKの設立は、日本におけるCNRSの立場をより強固にするものです。

今回開設されたUMIにおいては、特に、新しいナノ構造を持った物質について、その物理的・化学的な性質の解明という学術的な研究を進めるとともに、そのナノ構造を産業社会において活用するための探索的な応用研究がすすめられます。新しい機能を持った物質・材料の開発は、サンゴバンという企業における研究開発という枠組みを超え、産業社会、あるいは、人間社会に対し、安全・安心の提供、あるいは、その効率化など、様々な波及効果をもたらすものとして強く期待されます。さらなる、日仏関係の深化や科学技術のグローバルな発展を目指し、サンゴバン、CNRS、NIMSの3者による努力を継続し、社会に大きなベネフィットをもたらせるよう、研究開発を加速して行くつもりです。