隕石衝突でDNA構成分子が生成
〜生命誕生前の核酸塩基の新たな生成過程〜
2015.08.18
東北大学大学院理学研究科
物質・材料研究機構 (NIMS)
広島大学
東北大学、NIMSと広島大学の共同で、生命誕生前の地球の海洋に隕石が衝突する際に起こる反応を模擬した実験を行い、無機物からDNAおよびRNAの構成物質である核酸塩基や、タンパク質の構成物質である種々のアミノ酸が生成することを明らかにしました。
概要
東北大学理学研究科 古川善博助教らは、物質・材料研究機構 小林敬道主幹研究員、広島大学大学院理学研究科 関根利守教授と共同で、生命誕生前の地球の海洋に隕石が衝突する際に起こる反応を模擬した実験を行い、無機物からDNAおよびRNAの構成物質である核酸塩基 (シトシンおよびウラシル) や、タンパク質の構成物質である種々のアミノ酸が生成することを明らかにしました。
核酸塩基はDNAとRNAの両方で合計5種類しかなく、遺伝情報を伝える重要な文字として働いています。また、タンパク質を構成するアミノ酸も生命の起源に重要な物質と考えられています。これまでの研究では、無機物で構成される生命誕生前の地球では、核酸塩基の生成が難しいと考えられてきました。
核酸塩基はDNAとRNAの両方で合計5種類しかなく、遺伝情報を伝える重要な文字として働いています。また、タンパク質を構成するアミノ酸も生命の起源に重要な物質と考えられています。これまでの研究では、無機物で構成される生命誕生前の地球では、核酸塩基の生成が難しいと考えられてきました。
今回の研究では、生命誕生前の地球の海洋に鉄を含む隕石が衝突する過程を模擬した衝突実験を行い、生成物を分析しました。その結果、鉄、水、重炭酸、アンモニアなどの無機物から、衝突反応により、最大2種類の核酸塩基および最大9種類のアミノ酸が同時に生成することが明らかになりました。このことは、生命誕生前の地球における遺伝物質の新たな供給源を示唆しています。
本研究の成果は、平成27年8月17日 (日本時間) 公開の欧州科学雑誌「Earth and Planetary Science Letters」電子版に掲載されました。