第41回 GREENオープンセミナー

開催日: 2015.02.10 終了


名古屋大学大学院工学研究科より、入山 恭寿教授をお迎えしてご講演いただきます。
皆さまのご参加を、心よりお待ちしております。

開催日時

2015年2月10日 (火) 14 : 00~15 : 00

場所

NIMS並木地区 WPI-MANA棟 Auditorium

事前登録は必要ありません。当日会場で受付いたします。
お問い合わせは、右記事務局までご連絡ください。

講演者

入山 恭寿 (名古屋大学大学院工学研究科 教授)

Abstract

界面制御に基づく酸化物系全固体電池の高性能化

 酸化物系全固体リチウム二次電池の高性能化には、電池に内在する界面での電子・イオン移動抵抗を低減し、そこで起こる反応を安定化することが必須である。本発表では、演者らが薄膜材料を用いて界面抵抗の低減・安定化手法とその抵抗生成因子を検討した結果と、界面制御に基づくバルク型全固体電池の取り組みを紹介する。

 酸化物系全固体リチウム二次電池の研究開発は薄膜電池を中心に進められてきた。特に、スパッタリング法を用いてリン酸リチウムオキシナイトライドガラス電解質(LiPON)薄膜の作製が報告されて以来、LiPONを用いた薄膜電池に関する研究が数多い。LiPONはLi金属に対して安定であり、緻密なLiPON膜がLiの正極側への成長を防止するセパレータの役目も果たす。一般にこうした薄膜電池は数m厚みの正極活物質膜を基板上に形成した後、LiPON膜、Li金属膜を順次積層して作製される。Li金属を活物質に利用できること、固体電解質層の厚みが薄いことなどから薄膜電池自体のエネルギー密度は高く、活物質の溶出や電解質の分解といった副反応が起こらないために数万回の充放電も可能となる。現在、薄膜電池はマイクロデバイス用の電源として実用化している。しかし、酸化物系全固体リチウム二次電池を大型用途へ展開するためには正極に電極活物質粉末と固体電解質粉末からなる複合体層、LiPONの代わりに高Li+伝導性の固体電解質層を用いたバルク型電池の構築が必要となる。図1にバルク型全固体電池 (正極 : LiCoO2、負極 : Li金属) の模式図を示す。複合体層は数十m以上の厚みを有し、活物質の間には固体電解質が充填され、活物質と固体電解質、及び固体電解質同士は低抵抗に接合される必要がある。また、固体電解質層にガーネット型構造を有するLi7La3Zr2O12 (LLZ) の緻密体を用いれば、LiPONと同様にLi金属負極の利用が可能となる。このバルク型電池には様々な界面が存在し、電池反応の抵抗源及び反応不安定化の要因となる。その代表例として、
①正極活物質/固体電解質の界面Li+移動反応
②複合体層内および固体電解質層の粒界抵抗
③Li/固体電解質の界面電子移動反応
があげられる。これらの界面反応を単純化・モデル化してその抵抗生成要因や抵抗低減手法等を基礎的に検討するうえで薄膜材料は有用である。パルスレーザーアブレーション (PLD) 法、スパッタリング法、真空蒸着法、原子層堆積法、ゾルゲル法等、様々な手法で薄膜材料が作製されている。
本発表では、演者らが検討している薄膜材料を用いた界面反応の低抵抗化・安定化に関する研究をいくつか紹介する。また、複合体層内の①の抵抗低減という視点に基づいて最近行っているバルク型全固体電池に関する研究もあわせて述べる。


イベント・セミナーデータ

イベント・セミナー名
第41回 GREENオープンセミナー
会場
NIMS並木地区 WPI-MANA棟 Auditorium
開催日: 時間
2015.02.10
14:00-15:00
参加料
無料
言語
日本語

事務局

ナノ材料科学環境拠点 運営総括室

E-Mail: 電子メールアドレス
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