NMR 磁石の世界最高記録となる1001MHz (23.5テスラ) の磁場発生に成功
2014.10.02
NIMSを中心とする研究チームは、世界最高磁場となる超1GHz-NMRシステムの開発を目指しています。今年8月から超伝導磁石の磁場を徐々に上げていく作業を開始していましたが、10月1日 (水) に1001MHz (23.5テスラ) の世界最高磁場を発生させることに成功しました。
開発を行っているのはNIMS (極限計測ユニット強磁場NMRグループ、超伝導線材ユニットマグネット開発グループ、強磁場ステーション) を中心とし、他に独立行政法人理化学研究所ライフサイエンス技術基盤研究センター構造・合成生物学部門NMR施設、株式会社神戸製鋼所、株式会社JEOL RESONANCEからなる研究チームです。この超伝導磁石の最大の特徴は、ビスマス系高温超伝導線を用いることによって、従来技術の限界だった1000MHz (23.5テスラ、2009年ドイツが達成) を超える磁場を発生させることが可能になった点にあります。本開発は、独立行政法人 科学技術振興機構 (JST) 先端計測分析技術・機器開発プログラム「超1GHz NMRシステムの開発」として平成18年度に開始されましたが、その後、東日本大震災による損傷、丸2年にわたる大修理、研究代表者の急死、平成25年度のヘリウム供給危機など数々の困難を乗り越えて来ました。これからも、世界最高磁場のNMR測定を実現させるために、設計上の限界値である1030MHz (24.2テスラ) を目指して磁場を上げる作業が続きます。