細胞培養環境下疲労試験装置の開発に成功

生きた細胞の存在下で生体用材料の安全性評価が可能に

2004.12.15


独立行政法人物質・材料研究機構

NIMS生体材料研究センターの機能再建材料グループは、細胞を培養している環境下で生体用金属材料の長期間疲労試験を実施することが可能な装置を開発した。

概要

  1. 独立行政法人物質・材料研究機構 (理事長 : 岸 輝雄) 生体材料研究センター (センター長 : 田中 順三) の機能再建材料グループの丸山 典夫 主幹研究員らは、細胞を培養している環境下で生体用金属材料の長期間疲労試験を実施することが可能な装置を開発した。
  2. 金属材料は強度・靭性・剛性・導電性などに優れているため整形外科領域においては人工関節、顎骨再建プレートなどに使用されている。また、循環器・消化器系疾患では血管、食道などの狭窄部位を拡張するためにステント (金属チューブ) が使用されている。これらの生体用材料は力学的信頼性の点から金属材料以外のもので代用することが現状は出来ない。そのため、生体内における生体用金属材料の強度試験は非常に重要である。
  3. これまでの生体用金属材料 (ボーンプレートや脊柱固定器具等) に対する疲労試験は擬似体液中で行われていた。このような方法では生体の主要な構成要素である細胞が存在しないため生体内の正確な強度評価を行うことが出来なかった。そのため、生体内で破損する事故が発生し問題となっていた。
  4. 今回開発した装置は生きた細胞の存在下で生体用材料の疲労特性を測定することが可能であり、生体用材料の耐久性を高精度で評価でき、さらに信頼性・安全性の高い生体用材料の開発にも明確な指針を与えるものと期待される。
  5. 本装置は現在特許を出願中であり、新しい生体用材料評価法の開発につながるものと期待される。

「装置外観」の画像

装置外観