物質・材料研究機構と旭化成クラレメディカルが共同開発に着手

2009.08.18


独立行政法人物質・材料研究機構
旭化成クラレメディカル株式会社

NIMSと旭化成クラレメディカル株式会社は、血液浄化用医療用フィルターならびにバイオ医薬品プロセス用分離デバイスの共同開発に着手することに合意した。

概要

  1. 独立行政法人物質・材料研究機構 (理事長 : 潮田 資勝、以下「NIMS」) と旭化成クラレメディカル株式会社 (社長 : 吉田 安幸) は、血液浄化用医療用フィルターならびにバイオ医薬品プロセス用分離デバイスの共同開発に着手することに合意した。今回の合意では、NIMSのナノ有機センター (センター長 : 一ノ瀬 泉) の研究グループが開発した水処理用ナノ膜の技術を血液浄化システム等に応用するために、ナノ膜の分離性能の最適化や安全性の向上を目指す。
  2. NIMSでは、有機分子を高速濾過する多孔性ナノシートを開発しており、同様な分画分子量 (濾過される分子の大きさ) をもつ市販の水処理膜と比較して、約1000倍の処理速度を実現している。また、高分子やタンパク質を除去するナノ膜の製造において、独自の技術を開発してきた。
  3. 一方、旭化成クラレメディカルは、血液透析で使用される人工透析膜 (ダイアライザー) の市場において、国内1位、世界シェア2位を競うトップメーカーである。ダイアライザーの需要は、経済成長が著しい中国やインドなどで増加しており、市場が急速に拡大することが見込まれている。また同社は、血液浄化療法 (アフェレシス) 用、バイオ医薬品向けのウイルス除去用のデバイスなども手がけており、医療用膜分野では世界最高水準の優れた技術力を有し世界の医療技術の進歩に貢献している。
  4. 今回の合意では、NIMSの水処理膜の特許を旭化成クラレメディカルに実施許諾するとともに、両者の先端技術を組み合わせたシナジーで、臨床応用のための優れたデバイスを開発し、医療技術の向上に貢献することを目指す。本合意は、JSTの戦略的創造研究推進事業 (CREST) からの受託研究の成果普及にも一翼を担う。