アルツハイマー病関連ペプチドを自在に操って、多彩な機能をもつナノワイヤーの作製に初めて成功

2013.04.23


北海道大学 大学院理学研究院
独立行政法人物質・材料研究機構

北海道大学、NIMS、カリフォルニア大学の研究グループは共同して、アルツハイマー病の原因分子と考えられているアミロイドペプチドが、水溶液中で自発的に集合 (自己組織化) してナノワイヤー構造を形成する性質に着目し、この分子的性質を制御することで効率的に多彩な機能化ナノワイヤーを作製する新規手法の開発に初めて成功しました。

概要

北海道大学大学院理学研究院化学部門の坂口和靖教授の研究グループは、独立行政法人物質・材料研究機構の魚崎 浩平フェローおよびカリフォルニア大学サンタバーバラ校Michael T. Bowers教授のグループと共同して、アルツハイマー病の原因分子と考えられているアミロイドペプチドが、水溶液中で自発的に集合 (自己組織化) してナノワイヤー構造を形成する性質に着目し、この分子的性質を制御することで効率的に多彩な機能化ナノワイヤーを作製する新規手法の開発に初めて成功しました。
アミノ酸3個のユニットをアミロイドペプチドに付加的に導入した新規ペプチドをデザインし、SCAPと名付けました。ユニットの異なる複数のSCAPペプチドを混合して用いることで、その自己組織化の性質が分子レベルで高く制御されることを見出しました。この新規制御法により、過去最大のアスペクト比を有する分子ナノワイヤーを形成させ、さらにそれを金属・半導体・生体分子などの様々な機能分子で修飾することにより、極めて優れた機能化ナノワイヤーを作製することに成功しました。分子の自己組織化制御および機能化は、次世代ナノテクノロジー開発において注目を浴びています。
今後、本手法により多岐にわたる自己組織化能を持つ機能化ナノ材料が提供され、新規ナノデバイス開発に大きく貢献するものと期待されます。


「図2.アミロイドペプチド自己組織化によるナノワイヤー形成A)従来の手法では限界、B)混合SCAP法により形成されるナノワイヤー。」の画像

図2.アミロイドペプチド自己組織化によるナノワイヤー形成
A)従来の手法では限界、B)混合SCAP法により形成されるナノワイヤー。