世界最高峰の疲労耐久性を有する新合金を用いたビル用制振ダンパーを開発「JPタワー名古屋」に初適用
長周期・長時間地震動対策に極めて有効
2014.05.13
株式会社竹中工務店
独立行政法人物質・材料研究機構
淡路マテリア株式会社
株式会社竹中工務店は、独立行政法人物質・材料研究機構 (以下NIMS) 、淡路マテリア株式会社と共同で、制振ダンパーの素材として現在一般的に使われている鋼材の疲労耐久性を約10倍に高めた新合金を用いた制振ダンパーを開発しました。
概要
株式会社竹中工務店 (社長 : 宮下正裕) は、独立行政法人物質・材料研究機構 (理事長 : 潮田資勝) 、淡路マテリア株式会社 (社長 : 三尾堯彦) と共同で、制振ダンパーの素材として現在一般的に使われている鋼材 (低降伏点鋼) の疲労耐久性を約10倍に高めた新合金 (特許出願済) を用いた制振ダンパーを開発しました。
本制振ダンパーは、長周期・長時間地震動などにより繰返し変形を受けても安定した性能を維持し、建物の耐震性能余裕度の向上に大きく寄与します。
本制振ダンパーの心材には、NIMSが鉄を主成分として高濃度のマンガンやケイ素などを添加して開発したFe-Mn-Si系新合金を用いています。疲労耐久性だけでなく延性、耐腐食性も非常に優れています。
本ダンパーの開発では、竹中工務店がこの新合金を心材とした新型ダンパーの最適形状設計と性能評価を行いました。また、溶解・加工が困難な新合金の製造技術開発を淡路マテリアが担当し、大型化と量産化に不可欠なFe-Mn-Si系合金初の電気炉溶解とダンパー心材用素材板の製造を、日本高周波鋼業株式会社 (社長 ; 河瀬昌博) が実施しました。
2015年11月竣工予定の「JPタワー名古屋」 (愛知県名古屋市) には、最大荷重4000kNの本制振ダンパーが、高層棟の低層階部分 (1階~4階部分) に16基配置されています。
今後は、主に超高層建物の長周期・長時間地震動対策として、本制振ダンパーをオイルダンパーや摩擦ダンパーなど従来のダンパーと併せて適材適所に採用することでBCP (事業継続計画) の面から優れた建物を提供していきます。