同一の光子を放出する単一光子源を固体中に多数作製することに成功

ダイヤモンドの極限成長技術により量子情報処理のブレークスルーを実現

2014.08.22


国立大学法人 筑波大学
独立行政法人 物質・材料研究機構
独立行政法人 科学技術振興機構

国立大学法人筑波大学磯谷順一名誉教授、NIMS光・電子材料ユニット寺地徳之主幹研究員らは、ダイヤモンド中のカラーセンターの一つであるSiV-センターを高純度・高結晶性ダイヤモンド薄膜成長時に、極微量の濃度に制御して導入し、単一光子源として作製することに世界で初めて成功しました。

概要

国立大学法人筑波大学 (以下「筑波大学」という) 磯谷順一名誉教授 (筑波大学知的コミュニティ基盤研究センター・前主幹研究員) 、独立行政法人物質・材料研究機構 (以下「NIMS」という) 光・電子材料ユニット寺地徳之主幹研究員らは、ダイヤモンド中のカラーセンターの一つであるSiV-センターを高純度・高結晶性ダイヤモンド薄膜成長時に、極微量の濃度に制御して導入し、単一光子源として作製することに世界で初めて成功しました。

このダイヤモンド薄膜の極限成長技術によって、結晶内に明るく安定な単一光子源を、結晶中の離れた位置に多数作製することに成功しました。さらに、結晶中の離れた位置に作製された単一光子源からは、2光子間で最大91%の大きな発光スペクトル重なりを実現しました。これらの結果は、量子干渉を用いる量子光学、量子コンピューティング、量子情報ネットワークといった応用へ、固体中の単一光子源を用いるための重要な一歩として期待されます。

本研究はウルム大学 (ドイツ) Fedor Jelezko教授との共同研究であり、科学技術振興機構 (JST) 国際科学技術共同研究推進事業 (戦略的国際共同研究プログラム) 日独共同研究 (ナノエレクトロニクス) 「ダイヤモンドの同位体エンジニアリングによる量子コンピューティング」の一環として行われました。

本研究成果は2014年8月22日付「Nature Communications」 (日本時間22日午後6時) で公開される予定です。


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プレスリリースの図4 : 固体結晶にとって難題であった不均一なひろがりを解決し、識別することが困難な光子を発生する単一光子源を多数作製することに成功