ペロブスカイト太陽電池の変換効率、世界初の記録公認で15%を達成
2015.05.01
国立研究開発法人 物質・材料研究機構
NIMS太陽光発電材料ユニットの研究グループは、ペロブスカイト太陽電池のエネルギー変換効率において、世界で初めて国際標準試験機関で記録が公認され、変換効率15%を達成しました。
概要
- 国立研究開発法人 物質・材料研究機構 (理事長 : 潮田 資勝) (以下「NIMS」という) 太陽光発電材料ユニットの韓 礼元ユニット長をはじめとする研究グループは、ペロブスカイト太陽電池のエネルギー変換効率において、世界で初めて国際標準試験機関で記録が公認され、変換効率15%を達成しました。
- これまで、報道されたペロブスカイト太陽電池の変換効率は、ほとんどが小さな面積のセル (約0.1cm2) で得られたものです。これまでに、効率20.1% (セル面積0.0955cm2) が報告されていますが、セル面積が小さいために測定の誤差が大きく、また、測定方法も公開されていません。信頼性を有するデータに基づくペロブスカイト太陽電池の発展には、国際標準試験機関での公認エネルギー変換効率を得ることが急務となっています。
- 本研究グループは、発電層に使用されているペロブスカイトの塗布方法を改良することで、表面の凹凸を制御して変換効率および再現性を向上させました。また、電荷 (キャリア) を輸送する層の材料について、従来は吸湿性が高くすぐに変換効率が低下していましたが、新たに吸湿性が低くキャリア移動度の高い材料を開発することで安定性の改善に成功しました。これらの成果をもとに、太陽電池セル面積を1cm角以上に拡大し、さらに、デバイスの作製方法を改良することで、ペロブスカイト太陽電池として世界で初めて国際的な標準試験機関 (AIST太陽光発電研究センター評価・標準チーム) にて公認変換効率15%を実現しました。
- 今後は、この成果をベースに、さらなる高性能キャリア輸送材料を開発すると共に、ペロブスカイト太陽電池の界面を制御することによって、より高い変換効率を目指します。
- 今回の研究成果の一部は、国立研究開発法人 科学技術振興機構の戦略的創造研究推進事業 (CREST) 研究領域「太陽光を利用した独創的クリーンエネルギー生成技術の創出」 (研究総括 : 山口 真史 豊田工業大学 特任教授) 、研究課題「色素増感太陽電池におけるデバイス物性に関する研究」において得られました。本成果は、ローマで行われる 国際会議 (International Conference on Hybrid and Organic Photovoltaics 2015、5月10-13日) において発表される予定です。