NIMS Conference 2010を開催

2010.07.12-14
(2010.08.09 更新)


平成22年7月12日~14日の3日間、“ナノ材料科学の挑戦 - 環境・エネルギー問題の解決に向けて - ”をテーマに、つくば国際会議場においてNIMS Conference 2010を開催しました。

NIMS賞

NIMS賞には、リチウムイオン電池の容量・寿命・安全性の改善において大きな成果を挙げた、フランスPicardie Jules Verne大学教授のJean Marie Tarascon教授が選ばれました。Tarascon教授は材料科学的アプローチにより、リチウムイオン電池の電極、電解質さらにシステム全体について数多くの開発業績を挙げており、実用化され多大な市場規模に発展するに至ったリチウムイオン2次電池の開発に極めて大きな貢献をしています。

「潮田理事長よりNIMS賞を授与される、Jean Marie Tarascon教授」の画像

潮田理事長よりNIMS賞を授与される、Jean Marie Tarascon教授



基調講演

「藤嶋昭教授による基調講演」の画像

藤嶋昭教授による基調講演


基調講演は、東京理科大学学長の藤嶋昭教授が、TiO2光触媒の原理と応用について、特に超親水性と有機物の酸化分解反応を利用した清浄化効果、冷却効果などの実用例を数多く示しながら紹介されました。潮田理事長によるNIMSの研究ハイライトとナノ材料科学環境拠点の紹介に引き続き、米国Notre Dame 大学のPrashant Kamat教授が量子ドット太陽電池を中心とした新型太陽電池の開発最先端について講演し、さらに大野ナノ材料科学環境拠点マネージャーから、ナノ材料における界面現象の理解と制御に向けたシミュレーション技術についての紹介がありました。産業界を代表してトヨタ自動車の小浜電池研究部グループ長から高性能二次電池への期待が述べられ、最後にドイツのHelmholtz-Centre Berlin for Materials and EnergyのS. Fiechter博士から、光誘起水分解と、二次電池および燃料電池へのグラフェン基板の応用に関する紹介がありました。

オーガナイズドシンポジウム

「オーガナイズドシンポジウムの様子」の画像

オーガナイズドシンポジウムの様子


2日目および3日目には、環境エネルギー材料関連の8つのオーガナイズドシンポジウムが開催され、どの会場も多くの参加者で溢れ、熱い議論が交わされました。特に外国人聴講者の姿が目立ち、国際会議としてNIMS Conferenceが定着したことを実感させました。材料技術のブレークスルーにより、世界の持続的発展に貢献するのが、ナノ材料科学環境拠点およびその中核機関としてのNIMSの使命です。総来場者が550名に及んだNIMS Conference 2010は、その使命達成のために求められている異分野融合と産学独の密接な連携、人材の育成・交流のトリガーになったと確信しています。