平成27年度文部科学大臣表彰をNIMS職員が受賞
2015.04.15
(2015.04.28 更新)
平成27年4月15日、平成27年度科学技術分野の文部科学大臣表彰の表彰式が行われ、NIMS職員3名が表彰されました。
この表彰は、科学技術に関する研究開発、理解増進などにおいて顕著な成果をおさめた人々の功績をたたえることで、科学技術に携わる人々の意欲向上を図り、日本の科学技術水準の向上に寄与することを目的として文部科学省が定めたものです。
科学技術賞 (開発部門)
社会経済、国民生活の発展向上等に寄与し、実際に利活用されている (今後利活用が期待されるものを含む) 画期的な研究開発若しくは発明を行った者を対象に贈られる賞です。
【業績名】
疲労耐久性10倍の新合金と耐疲労制振ダンパーの開発
【受賞者】
澤口 孝宏 (元素戦略材料センター 主席研究員)
津﨑 兼彰 (元素戦略材料センター NIMS招聘研究員 (九州大学 教授) )
本成果は、第三期NIMS中期計画プロジェクト「社会インフラの復旧、再生に向けた構造材料技術の開発」の一環として、株式会社竹中工務店、淡路マテリア株式会社との共同研究によるものです。
【業績名】
疲労耐久性10倍の新合金と耐疲労制振ダンパーの開発
【受賞者】
澤口 孝宏 (元素戦略材料センター 主席研究員)
津﨑 兼彰 (元素戦略材料センター NIMS招聘研究員 (九州大学 教授) )
本成果は、第三期NIMS中期計画プロジェクト「社会インフラの復旧、再生に向けた構造材料技術の開発」の一環として、株式会社竹中工務店、淡路マテリア株式会社との共同研究によるものです。
「疲労耐久性10倍の新合金と耐疲労制振ダンパーの開発」
地震による建物の揺れを熱に変換して吸収する鋼材系制振ダンパーは、低コスト、メインテナンスフリーで使えることから、建築構造物の耐震性向上に重要な役割を担っています。今回受賞した新しい制振合金は、従来比約10倍の疲労耐久性が特長で、これを用いた新型ダンパーは長周期・長時間地震動などにより繰返し変形を受けても安定した性能を維持します。金属疲労は変形の繰り返しによって金属結晶中に格子欠陥が発生・堆積することで生じますが、本研究では金属疲労の進行を防ぐための新しい設計指針を開発しました。開発のベースとなったのは鉄系形状記憶合金として有名なFe-Mn-Si系合金です。形状記憶合金が変形後の加熱によって元の形状を取り戻す際の、可逆的な結晶構造変化を応用して、繰り返し弾塑性変形しても金属疲労しにくい成分条件を見いだしました。本新型ダンパーは、すでに高層オフィスビルで採用されています。
地震による建物の揺れを熱に変換して吸収する鋼材系制振ダンパーは、低コスト、メインテナンスフリーで使えることから、建築構造物の耐震性向上に重要な役割を担っています。今回受賞した新しい制振合金は、従来比約10倍の疲労耐久性が特長で、これを用いた新型ダンパーは長周期・長時間地震動などにより繰返し変形を受けても安定した性能を維持します。金属疲労は変形の繰り返しによって金属結晶中に格子欠陥が発生・堆積することで生じますが、本研究では金属疲労の進行を防ぐための新しい設計指針を開発しました。開発のベースとなったのは鉄系形状記憶合金として有名なFe-Mn-Si系合金です。形状記憶合金が変形後の加熱によって元の形状を取り戻す際の、可逆的な結晶構造変化を応用して、繰り返し弾塑性変形しても金属疲労しにくい成分条件を見いだしました。本新型ダンパーは、すでに高層オフィスビルで採用されています。
若手科学者賞
我が国の科学技術分野において、高度な研究開発能力を有する若手研究者に贈られる賞です。
【業績名】
相分離による高分子メソ多孔体の創製と分離機能に関する研究
【受賞者】
佐光 貞樹 (高分子材料ユニット 主任研究員)
【業績名】
相分離による高分子メソ多孔体の創製と分離機能に関する研究
【受賞者】
佐光 貞樹 (高分子材料ユニット 主任研究員)
「相分離による高分子メソ多孔体の創製と分離機能に関する研究」
相分離を利用した多孔化は、高付加価値な高分子材料を生み出す重要な加工技術です。その中で、工業用高分子から比表面積が大きなメソ多孔体を製造することは、困難な課題でした。本研究では、急速冷却過程における高分子溶液の相分離科学を詳細に研究する中で、溶媒分子が数10 ナノメートルのネットワーク状多結晶相を形成することを見出しました。その知見を基盤に、新たな多孔化技術としてナノ結晶化相分離法を開発しました。この手法で生み出される高分子メソ多孔体は3次元に連通した独自のナノ細孔構造を有し、ガスや液体に対する物質透過や吸着特性に優れることを明らかにしました。
本研究成果は、高性能な分離機能材料を創製し、石油随伴水から純度の高い再生水を得るための高度な水浄化技術で活用されることが期待されています。
相分離を利用した多孔化は、高付加価値な高分子材料を生み出す重要な加工技術です。その中で、工業用高分子から比表面積が大きなメソ多孔体を製造することは、困難な課題でした。本研究では、急速冷却過程における高分子溶液の相分離科学を詳細に研究する中で、溶媒分子が数10 ナノメートルのネットワーク状多結晶相を形成することを見出しました。その知見を基盤に、新たな多孔化技術としてナノ結晶化相分離法を開発しました。この手法で生み出される高分子メソ多孔体は3次元に連通した独自のナノ細孔構造を有し、ガスや液体に対する物質透過や吸着特性に優れることを明らかにしました。
本研究成果は、高性能な分離機能材料を創製し、石油随伴水から純度の高い再生水を得るための高度な水浄化技術で活用されることが期待されています。
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