NIMS参考物質でお茶成分を分ける !
2007.09.07
独立行政法人物質・材料研究機構
NIMSナノ物質ラボは、独自開発し機構発参考物質第2号として無償頒布中の新規ナノ物質「カーボンナノケージ (CNC) 」にユニークな特性・用途があることを発見した。
概要
- 独立行政法人物質・材料研究機構 (理事長 : 岸 輝雄) 燃料電池材料センター (センター長 : 西村 睦) ナノイオニクス材料グループのアジャヤン・ビヌー 主任研究員はナノ物質ラボ (ラボ長 : 室町 英治) 超分子グループの有賀 克彦 グループリーダーの協力のもと、独自開発し機構発参考物質第2号として無償頒布中の新規ナノ物質「カーボンナノケージ (CNC) 」にユニークな特性・用途があることを発見した。
- 「カーボンナノケージ」のユニークな特性・用途
ナノテクカーボンでカテキンとタンニンを選択分離 : 操作は混ぜて分けるだけ !
「カーボンナノケージ」を用いるこの方法で、お茶の成分からタンニンのみを選択的に除き、貧血気味の人にやさしいお茶を作ったり、吸着したタンニンを回収すれば抗菌作用の強い成分だけを取り出したりすることが可能となる。本方法は、“混ぜて分ける”だけなので、高価な器具は一切必要とせず、また環境を害する有機溶媒も要さない。経済的にも環境的にもフレンドリーな手法である。
本成果は、アメリカ化学会の Journal of the American Chemical Society 誌に速報として発表される。
補足
お茶やワインなどに含まれるポリフェノール類は、健康食品として注目されている。ただし、ポリフェノールと言っても、多種多様あり、それぞれが異なる薬効を持つ。例えば、お茶に含まれるサイズの小さいポリフェノールであるカテキンには、抗酸化作用、コレステロール低下作用、血圧上昇抑制作用などの効果があるといわれている。それに対し、サイズの大きなポリフェノール類であるタンニンは、鉄の吸収を阻害することから貧血治療などにおいては除きたい成分である一方、さまざまな抗菌作用があることが知られている。お茶が持つ抗菌作用はタンニンに由来し、抗SARS作用や、抗HIV作用があることが実験的に証明されている。このような背景から、多種多様なポリフェノールを分離し、それぞれの目的に応じた成分を的確に使うことが求められている。