並木地区ナノ・生体材料研究棟火災事故原因の報告

2007.09.28


独立行政法人物質・材料研究機構

NIMSは、平成19年6月29日 (金) に並木地区ナノ・生体材料研究棟212-213室で発生した火災事故について、火災事故調査委員会を設置し、原因の究明と再発防止策を検討してきたが、その結果を報告する。

概要

  1. 独立行政法人物質・材料研究機構 (理事長 : 岸 輝雄) は、平成19年6月29日 (金) に並木地区ナノ・生体材料研究棟212-213室で発生した火災事故について、火災事故調査委員会 (委員長 : 上原 哲 理事) を設置して、原因の究明と再発防止策を検討してきた。その結果を報告する。
  2. 出火した実験室は、ナノデバイスの創製に関する研究を行っており、ナノデバイス作製の過程で、レジスト材料の剥離や試料の洗浄等の薬品処理が行われていた。事故は、最終退出者が退出して45分後に発生した。
  3. 本事故は、出火元が実験室内のゴミ箱であることが、鎮火後のつくば消防署及びつくば警察署の現場検証で明らかになっており、ゴミ箱に棄てた廃棄物の種類、状態及びそれらの廃棄物による発火の可能性について調査した。 出火したゴミ箱には、使用したレジスト剥離液を拭き取った紙タオルや銅微粒子が付着していたと思われる濾紙などが入っていた。紙タオルに付いた剥離液は、水分が蒸発して乾燥する際、銅や鉄などの金属粉と接触すると、発熱的に分解することがあるとされており、出火原因を特定するため、剥離液の付いた紙タオルが、金属粉が付着した濾紙と接触し、発熱反応が起こったと仮定して、検証実験を行ったが発火に至らなかった。
  4. 発火原因の検証はできなかったが、ゴミ箱内には、アルコールが付着した紙タオル等も入っていたと考えられ、これらの化学物質が予測し得ない発火を誘発したと推考する。
  5. 本事故は、ゴミ箱の発火により隣接して置いてあった剥離液やその廃液及びエタノールの廃液等が燃えて、火災が室内全体に及んだ。人的被害や環境への影響はなかったが、同室の実験機器類や空調機器類は使用不能となった。
  6. 本事故に対する再発防止策として、薬品を拭き取った紙タオル等は、蓋付きの金属容器に分別し、適正保管の徹底を図ることとした。 また、職員の安全意識の高揚を図り、再発防止に努めることにした。