わが国の都市鉱山は世界有数の資源国に匹敵

わが国に蓄積された都市鉱山の規模を計算

2008.01.11


独立行政法人物質・材料研究機構

NIMS元素戦略クラスターは、「都市鉱山」と呼ばれる、わが国内に蓄積されリサイクル対象となる金属量を算定し、それが世界有数の資源国に匹敵する規模になっていることを明らかにした。

概要

  1. 独立行政法人物質・材料研究機構 (理事長 : 岸 輝雄) 、元素戦略クラスター長の原田 幸明 材料ラボ長は、危惧されている将来の金属資源の利用に対して、「都市鉱山」と呼ばれるこれまでわが国内に蓄積されリサイクルの対象となる金属の量を算定し、わが国の都市鉱山は世界有数の資源国に匹敵する規模になっていることを明らかにした。
  2. 計算によると、金は、約6,800トンと世界の現有埋蔵量42,000トンの約16%、銀は、60,000トンと22%におよび、他にもインジウム61%、錫11%、タンタル10%と世界埋蔵量の一割を超える金属が多数あることが分かった。また、他の金属でも、国別埋蔵量保有量と比較すると白金などベスト5に入る金属も多数ある。
  3. 計算には、海外との輸出入のデータである貿易統計が用いられるが、素材の場合は、部品や製品として輸出入されるケースも多い、特に製品輸出の多いわが国では、製品のかたちで輸出される素材量を見積もっておかないと過大な見積もりとなってしまう。
    そこで、この計算では、産業連関表を用いて、部品や製品を通じて輸出される素材の割合を推定し、その割合を、工業統計から得られる部品などへの部材需要に掛け合わせることで、製品としての海外流出量を差し引いて計算した。
  4. 現状ではこのような国内の都市鉱山資源が、使用済製品としての随伴物の「廃棄物処理」との“あわせわざ”で本来得られる価値よりも安価に放出されている状況も見られている。それに対し、天然の鉱山の場合に粗鉱から品位の高い精鉱として輸出・利用しているように、都市鉱山資源を都市鉱石としてより積極的に有効活用していくことが必要である。
  5. 本件は、1月15日に科学技術振興機構社会技術研究開発センターの主催で行われる、「『循環型社会』領域シンポジウム」においてポスター発表され、3月の鉄鋼協会および資源素材学会の春季講演大会においても発表される。

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プレス資料中の図: 日本の都市鉱山蓄積量 / 世界の年間消費量