液晶バックライト用の白色LEDの試作に成功

液晶ディスプレイの色再現性が向上

2008.03.19


独立行政法人物質・材料研究機構

NIMSナノセラミックスセンター 窒化物粒子グループの広崎 尚登グループリーダーは、液晶ディスプレイのバックライト用途に適した白色発光ダイオード (LED) の試作に成功した。

概要

  1. 独立行政法人物質・材料研究機構 (理事長 : 岸 輝雄 以下「機構」) ナノセラミックスセンター (センター長 : 目 義雄) 窒化物粒子グループの広崎 尚登 グループリーダーは、液晶ディスプレイのバックライト用途に適した白色発光ダイオード (LED) の試作に成功した。機構が開発した緑色 (平成17年3月発表済) と赤色 (平成16年8月発表済) 蛍光体の発色を改良することにより、赤、緑、青の光の三原色から構成されるLEDを提供することが可能となった。このLEDは三原色以外の色成分が少ないため、色フィルターと組み合わせると純度が高い三原色を取り出すことができ、液晶ディスプレイの再現色域を拡大することに成功した。
  2. 液晶ディスプレイは、バックライトが放つ白色光を液晶と色フィルターで三原色に分解して画像を表示する装置であり、薄型テレビ、パソコン、携帯電話などで使われている。現在のバックライトは冷陰極蛍光ランプ(CCFL)という小型の蛍光灯が主流であるが、CCFLには水銀が含まれるため環境面から水銀フリーの光源が求められている。LEDは「小型軽量」「低消費電力」「水銀を使用しない」といった特徴があり、将来はLEDに置き換わると予想される。しかし、現行のLEDは青色と黄色の光を混ぜて発光していたため、緑色と赤色の成分が欠如した不自然な光になっていた。そのため、三原色が必要なバックライト光源には不適当であり、色再現性がよいバックライト専用のLEDの実現が待ち望まれていた。
  3. 開発したLED光源は、青色LEDチップと、CaAlSiN3赤色蛍光体と、βサイアロン緑色蛍光体とから構成される。三原色の構成としたことにより、液晶および色フィルターと組み合わせると、色純度が良い赤、緑、青を取り出すことができる。シミュレーションによれば、ディスプレイの色再現性の指標であるNTSC比が91%となり色再現の色域が広い光源を試作することに成功した。
  4. 本研究成果は3月27日から千葉県船橋市の日本大学理工学部・船橋キャンパスで開催される第55回応用物理学関係連合講演会で発表の予定である。

「プレス資料中の図1: βサイアロン緑色蛍光体とCaAlSiN3赤色蛍光体」の画像

プレス資料中の図1: βサイアロン緑色蛍光体とCaAlSiN3赤色蛍光体