光合成細菌が持つ集光機能物質の構造を世界で初めて解明
バクテリオクロロフィルc 複合体の積層構造

物質・材料研究機構の強磁場固体NMRが決め手

2009.04.28


独立行政法人物質・材料研究機構

ナノ計測センターは、炭素とマグネシウムの固体NMR等の手法を用いて、葉緑素の一種であるバクテリオクロロフィルcと呼ばれる分子が、実際の生体内でどのような構造になっているかの詳細を解明することに成功した。

概要

独立行政法人物質・材料研究機構 (理事長 : 岸 輝雄) ナノ計測センターの清水 禎 グループリーダーらの共同研究チームは、炭素とマグネシウムの固体NMR等の手法を用いて、葉緑素の一種であるバクテリオクロロフィルc と呼ばれる分子が実際の生体内でどのような構造になっているのかについてその詳細を解明することに成功した。すなわち、およそ百個規模の分子が寄り集まってクロロゾームと呼ばれる積層構造をしていることまでは従来から知られていたが、6種類提案されていた積層構造のうち一種類に特定されることを実験結果から示すことができた。更に、分子同士を結合させて積層構造を作る原因が、水分子とマグネシウムとの化学結合であることも示すことができた。これらの発見は世界でも初めてである。

「プレス資料中の図: NMR実験結果と合致するクロロゾームの局所構造。積層構造の最小単位が2量体 (2個のバクテリオクロロフィル分子が結合してできた大きさ2倍の分子) であることを示しています。」の画像

プレス資料中の図: NMR実験結果と合致するクロロゾームの局所構造。積層構造の最小単位が2量体 (2個のバクテリオクロロフィル分子が結合してできた大きさ2倍の分子) であることを示しています。