アイソレーター用ガーネット型単結晶の開発に成功

高出力・広帯域化するレーザー光源への対応

2009.10.22


独立行政法人物質・材料研究機構
株式会社フジクラ

NIMS光材料センターは、株式会社フジクラと共同で、高出力・広帯域化するレーザー光源に対応した光アイソレーター用ガーネット型単結晶の開発に成功した。

概要

  1. 独立行政法人物質・材料研究機構 (理事長 : 潮田 資勝) の 島村 清史 グループリーダー、ガルシア・ビジョラ 主任研究員らは、株式会社フジクラ (取締役社長 : 長浜 洋一) の直江 邦浩 室長らと共同で、高出力・広帯域化するレーザー光源に対応した光アイソレーター用ガーネット型単結晶の開発に成功した。
  2. 近年、高出力光源を持つレーザー加工機による精密加工において、光源の更なる高出力化が進んでおり、光源の安定化と破壊防止が必要とされている。光ファイバーケーブルを用いた光通信においても、情報量の増大に伴うレーザー光源の高出力化と広帯域化、伝達情報の信頼性の向上のため、光源の安定化と破壊防止が必要とされている。光アイソレーターは光源の安定化と破壊防止を担う重要なデバイスの一つであり、性能やコストの点で優れた磁性ガーネット型単結晶が必要とされていた。
  3. 今回開発したのはテルビウム・スカンジウム・ルテチウム・アルミニウム・ガーネット単結晶であり、この結晶は従来用いられるテルビウム・ガリウム・ガーネット単結晶と比較し、波長により最大30%を超えるファラデー回転角の増大、大型単結晶育成の容易性、優れた波長透過性を有することがわかった。このため、コストダウンが可能な、高出力・広帯域化するレーザー光源に対応した光アイソレーター用磁性ガーネット単結晶として期待され、今後は更なる大型化と高品質化に関する研究を進めていく。
  4. 本研究成果は2010年3月開催の応用物理学会春季学術講演会や日本セラミックス協会春の年会をはじめ、各種の国際会議等で発表を予定している。

「図1 磁性ガーネットTSLAG単結晶 (直径約1インチ)」の画像

図1 磁性ガーネットTSLAG単結晶 (直径約1インチ)