超高速で形成する有機導電材料の開発に成功

次世代積層デバイスにおける3次元立体配線も低コストで可

2011.09.21


独立行政法人物質・材料研究機構

NIMS 国際ナノアーキテクトニクスの研究グループは、既存の技術に比べて10倍以上の成長速度で形成可能なエレクトロニクス用導電性配線材料を開発することに成功した。

概要

  1. 独立行政法人物質・材料研究機構 (理事長 : 潮田 資勝) 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点 (拠点長 : 青野 正和) の川喜多 仁MANA研究者と知京 豊裕主任研究者らの研究グループは、既存の技術に比べて10倍以上の成長速度で形成可能なエレクトロニクス用導電性配線材料を開発することに成功した。
  2. エレクトロニクス分野、特に集積回路では高集積化の手段として3次元的にデバイスを積層することが始まっており、多層配線と縦方向の配線をいかに作製するかが課題になっている。また、フレキシブルデバイスでも高集積化に伴う多層配線の必要性がでてきており、新しい高導電性配線材料が求められている。しかし、既存の金属を使う配線作製技術では、形成に数時間を要することがあり、エレクトロニクス構成部品の生産コストが高くなる要因になっていた。
  3. 本研究では、導電性有機ポリマーと金属から構成される高導電性配線材料を既存の技術の10倍以上の速度で溶液中から形成することに成功した。これは、導電性有機ポリマーの重合反応と金属の析出反応とを、光アシスト効果によって同時に促進することが可能になったことによる。
  4. この成果により、液体状態での原料の高速注入とその後の導電材料の高速形成が可能となり、次世代エレクトロニクス技術の一つである3次元半導体におけるTSV (シリコン貫通電極) の充填時間が従来の数時間から、数分に短縮されることが期待される。
  5. 本成果は9月21日の表面技術協会秋季講演大会および9月22日の産学官連携推進会議において発表される予定である。

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プレス資料中の図3:導電性有機ポリマーと金属からなる導電材料の形成過程