超伝導磁石の世界最高磁場24Tを発生
酸化物高温超伝導線材を用いた小型・強磁場NMR 装置へ道
2011.09.07
独立行政法人物質・材料研究機構
ジャパン スーパーコンダクタ テクノロジー株式会社
独立行政法人 科学技術振興機構
NIMS 超伝導線材ユニット マグネット開発グループの松本 真治主任研究員らは、JASTEC等と共同で実施するJST研究成果展開事業の一環として、超伝導磁石の世界最高磁場を更新する24.0 T (テスラ) の磁場発生に成功した。
概要
独立行政法人物質・材料研究機構 (NIMS) (理事長 : 潮田 資勝) 超伝導線材ユニット (ユニット長 : 北口 仁) マグネット開発グループ (グループリーダー : 木吉 司) の松本 真治主任研究員らは、ジャパン スーパーコンダクタ テクノロジー株式会社 (JASTEC) (代表取締役社長 : 西元善郎) 等と共同で実施する科学技術振興機構 (JST) 研究成果展開事業 (戦略的イノベーション創出推進プログラム) の一環として、超伝導磁石の世界最高磁場を更新する24.0T (テスラ) の磁場発生に成功した。
核磁気共鳴 (NMR) 装置に使用される超伝導磁石は、発生する磁場の増加とともに感度と分解能が増加するため、より強い磁場を発生することが要求される。一方で、磁場を強くするためには超伝導磁石が大型化し、冷却に必要とされる液体ヘリウムの使用量も増加する問題が生じていた。
研究グループは、強磁場中で優れた臨界電流密度と機械的特性を示す酸化物系高温超伝導線材であるGdBCO薄膜線材 (株式会社フジクラ製) でコイルを製作し、17.2Tの磁場を発生する金属系超伝導磁石の内側に組み込み、磁石の中心部で24.0Tの磁場を発生できることを確認した。これは超伝導磁石単独では世界最高の値である。
また、これまでの最高記録23.5Tが温度を約2K まで下げることで到達していたのに対して、一般に普及している超伝導磁石と同様に、液体ヘリウムの沸点である4.2Kで達成された。さらに、磁石全体のサイズも大幅に小さくなっている。この度の成果によって、GdBCO薄膜線材を用いた強磁場発生用コイルの作製技術が大幅に進展し、強磁場中でのコイルとしての性能も実証できた。開発した技術を用いることで、強磁場NMR装置を大幅に小型化し、液体ヘリウムの使用量も低減することが期待される
核磁気共鳴 (NMR) 装置に使用される超伝導磁石は、発生する磁場の増加とともに感度と分解能が増加するため、より強い磁場を発生することが要求される。一方で、磁場を強くするためには超伝導磁石が大型化し、冷却に必要とされる液体ヘリウムの使用量も増加する問題が生じていた。
研究グループは、強磁場中で優れた臨界電流密度と機械的特性を示す酸化物系高温超伝導線材であるGdBCO薄膜線材 (株式会社フジクラ製) でコイルを製作し、17.2Tの磁場を発生する金属系超伝導磁石の内側に組み込み、磁石の中心部で24.0Tの磁場を発生できることを確認した。これは超伝導磁石単独では世界最高の値である。
また、これまでの最高記録23.5Tが温度を約2K まで下げることで到達していたのに対して、一般に普及している超伝導磁石と同様に、液体ヘリウムの沸点である4.2Kで達成された。さらに、磁石全体のサイズも大幅に小さくなっている。この度の成果によって、GdBCO薄膜線材を用いた強磁場発生用コイルの作製技術が大幅に進展し、強磁場中でのコイルとしての性能も実証できた。開発した技術を用いることで、強磁場NMR装置を大幅に小型化し、液体ヘリウムの使用量も低減することが期待される