マヨラナ粒子を操るナノ量子デバイスを設計

トポロジカル量子計算の基礎技術に貢献

2012.09.13


独立行政法人物質・材料研究機構

NIMS 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点の研究者らのグループは、電気的に中性であるマヨラナ粒子の理論解析を行い、その操作方法を考案した。

概要

  1. 独立行政法人 物質・材料研究機構 (理事長 : 潮田 資勝) 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点 (WPI-MANA) (拠点長 : 青野 正和) の梁 奇峰 (リャン チフォン) 、王 志 (ワン チ) 両MANAリサーチアソシエートと古月 暁主任研究者らのグループは、電気的に中性であるマヨラナ粒子の理論解析を行い、その操作方法を考案した。特殊な超伝導状態のトポロジー特性を利用するように設計されたナノ量子デバイスを用いれば、局所的なゲート電圧のスイッチングだけでマヨラナ粒子を自在に搬送・交換することができる。
  2. マヨラナ粒子は、1937年にイタリアの理論物理学者エットーレ・マヨラナが考案したものであるが、素粒子としては未だに発見されていない。近年、特殊な超伝導状態の準粒子励起がマヨラナ粒子として振る舞うことが明らかになってきた。マヨラナ粒子は、電気的に中性なフェルミ粒子であり、安定である反面、外場による操作は困難である。
  3. 研究グループは、設計された量子デバイスでのマヨラナ粒子の位置交換は、電子や光子等と異なり非アーベル統計に従い、量子計算に利用できることも確認した。これは、トポロジカル量子計算の基礎となる技術に繋がる研究成果である。
  4. 本研究成果はヨーロッパ物理学会の論文誌Europhysics LettersにEditor’s choiceとして掲載された。

「プレス資料中の図3:くびれ部分でのゲート電圧のスイッチングによるマヨラナ粒子の運搬。但し、量子渦の芯に捕まったマヨラナ粒子は表示していない。」の画像

プレス資料中の図3:くびれ部分でのゲート電圧のスイッチングによるマヨラナ粒子の運搬。但し、量子渦の芯に捕まったマヨラナ粒子は表示していない。