ナノテクノロジー人材育成事業にNIMSの大型研究施設を活用

筑波大学と連携し体験型授業を明日から開講

2008.07.16


独立行政法人物質・材料研究機構
国立大学法人筑波大学

NIMSは筑波大学と連携し、筑波大学大学院数理物質科学研究科博士前期課程電子・物理工学専攻の授業「ナノ加工・計測序論とファンドリー実習」を7月17日から開講する。

概要

独立行政法人物質・材料研究機構 (茨城県つくば市、岸 輝雄 理事長) は、国立大学法人筑波大学 (茨城県つくば市 岩崎 洋一 学長) と連携し、筑波大学大学院数理物質科学研究科博士前期課程電子・物理工学専攻の授業「ナノ加工・計測序論とファンドリー実習」 (1単位) を物質・材料研究機構のナノファウンドリー大型施設を活用し、明日 (7月17日) から開講することになりました。物質・材料研究機構のナノファウンドリー大型施設を大学院授業に活用するのは初めての試みです。

「連携図」の画像

連携図



背景

物質・材料研究機構は、「ナノテクノロジーを活用する新物質・新材料の創成のための研究の推進」を第2期中期目標の重点研究開発領域に掲げ、その中核的な大型施設としてナノファウンドリー施設1)整備を進め、平成19年度には、外部開放施設として、より多種多様な物質・材料に対応した新しいファウンドリー施設を整備するとともに、様々な研究者等が気軽に利用することができる支援体制を追加整備しました。また、物質・材料研究に係る学独連携の構築を目標に掲げ、大学に対する学術的な活動への貢献を果たすことを目指し、大学との連携構築や大学院生等の受入、大学へ講師としての研究者の派遣などの協力を行っています。

一方、筑波大学は、物質・材料研究機構との連係のもと、平成16年に設置した大学院数理物質科学研究科物質・材料工学専攻において、機構の精鋭研究者が、大学院教員として博士後期課程の研究指導を行うとともに、最先端研究設備を用いた実習を通じて、物質・材料工学分野における高度な研究型専門職業人の養成を図っています。また、同研究科博士前期課程の化学専攻、物質創成先端科学専攻、電子・物理工学専攻及び物性・分子工学専攻にそれぞれ「物質・材料工学コース」を設け材料工学教育を行っています。

今回、物質・材料工学専攻に関係する連係教員の企画により、ナノファウンドリー大型施設を使った実習授業「ナノ加工・計測序論とファンドリー実習」が開講されることとなりました。

授業内容

開講する「ナノ加工・計測序論とファンドリー実習」は、ナノテク加工技術を習得したい学生向けの入門授業で、講義と実習の両面から一通り概観できる構成になっています。本授業では微細加工の基本的なプロセスを系統的に概観する序論と、ファウンドリー施設内での実習を体感することにより、微細加工技術を総合的に学ぶ事を特徴としています。

講義は筑波大学大学院で行い、実習は物質・材料研究機構 NIMSナノテクノロジー拠点ナノテクノロジー融合支援センターのナノファウンドリー施設で行います

実習はデバイスコースとナノ計測コースの二つのコースから選択でき、コース別に詳細なプロセス講義と試作デバイスの性能計測までを一貫して体験できる体験型授業になっています。
「ナノ加工・計測序論とファンドリー実習」の構成
日程 内容 場所/担当者
一日目   ナノ加工・計測序論 筑波大学/筑波大学教員
二日目 午前 ナノ加工・計測序論 筑波大学/筑波大学教員
午後 実習プロセスの詳細講義 筑波大学/物質・材料研究機構職員
(筑波大学連係大学院教員)
三日目   プロセス実習 物質・材料研究機構ファウンドリー施設/
物質・材料研究機構職員 (筑波大学連係大学院教員)
四日目  
五日目   機能評価の講義・実習 物質・材料研究機構ファウンドリー施設/
物質・材料研究機構職員 (筑波大学連係大学院教員)
※実習班は、デバイスコースとナノ計測コースから選択

今後の課題

物質・材料研究機構は、大学院向けの人材育成事業を日本全国の大学に拡大する方向であり、また、筑波大学も他大学との共同講義を検討する方針となっており、広く高度な研究専門職業人の養成を図ります。

また、今回の授業実施後に、来年度以降の授業の規模や内容について検討を行い、必要に応じて規模の拡大や施設利用に要する経費を得るために、国の競争的資金等への申請も考慮していく予定です。