国内初、研究機関でオープンソース図書館システムを採用

次世代図書システムの共同開発に着手

2010.11.08


独立行政法人物質・材料研究機構

NIMS 科学情報室と合同会社次世代図書館システムは、専門図書館の実用に合い、かつ先進性をもった次世代図書システムの共同開発に着手することに合意した。

概要

独立行政法人物質・材料研究機構 (理事長 : 潮田 資勝 以下NIMS) の科学情報室 (室長 : 谷藤 幹子) と合同会社次世代図書館システム (代表 : 西野 一夫) は、専門図書館の実用に合い、かつ先進性をもった次世代図書システムの共同開発に着手することに合意した。今回の合意では、国際標準フォーマット対応のオープンソースソフトウェアであるEnju1)を採用した。Enjuをカスタマイズすることにより、(i)必要な図書館管理機能をしぼりつつ、(ii)電子ジャーナルや電子書籍、電子ハンドブックといった電子的図書資源やネット上の学術情報を一元的に管理すると共に、(iii)セルフアーカイブによる機関リポジトリを含む電子的研究環境にあった横断的次世代システムを開発する。本システムは2011年1月稼働を目指す。

NIMSは、旧金属材料技術研究所と旧無機材質研究所時代からの蔵書約7万冊、電子ジャーナル約700タイトル、電子書籍・ハンドブック等1000冊を中心とした材料科学に関する専門図書館を運営している。電子ジャーナル、電子書籍の導入が幅広く進み、新規購入の大半は電子化されたものとなり、NIMSの研究成果の電子化2)も加わる中、電子化された学術情報資料と冊子版資料との双方に対応した包括的な文献の管理、利用しやすい環境、人件費を増やさない効率的な運用が緊要な課題となっている。

さらに、NIMS職員の20%近くに達する外国人研究者や、世界標準の図書館機能に慣れた外来研究者にとって、ストレスのない図書館サービスを提供するためにも、より洗練された国際対応のソフトウェアパッケージが必要となっている。

図書館予算の主要支出を占める電子ジャーナル、データベース、インフラ整備における毎年の値上げは、図書館運営費削減の中で大きな負担増となっており、研究環境基盤の質の維持、近代化を困難としている。

これらの課題に応えるために、NIMSは、オープンソースの図書管理システムEnju を採用し、合同会社次世代図書館システムと協力して次世代図書システムの共同開発を行う。オープンソースソフトウェアの活用により、システム投資にかかる費用を抑制するだけでなく、図書館利用者 (研究者) と図書館員が共同でシステムデザインを行うことで、お互いが使いやすい次世代システムの構築を目指す。また、共同開発の成果は他機関での利用を可能とする。

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