独自技術で高均一な赤色量子ドットレーザーを実現

医療・情報技術の高性能化に期待

2011.08.19


独立行政法人物質・材料研究機構

NIMS先端フォトニクス材料ユニットの間野 高明 主任研究員および定 昌史 研究員は、将来の重要なデバイスとして注目される量子ドットレーザーの中で、これまで特に製作が困難だった赤色レーザーを、NIMSが開発した独自の手法によって実現しました。

概要

独立行政法人物質・材料研究機構 (理事長 : 潮田 資勝) 先端フォトニクス材料ユニット (ユニット長 : 迫田 和彰) の間野 高明 主任研究員及び定 昌史 研究員は、将来の重要なデバイスとして注目される量子ドットレーザーの中で、これまで特に製作が困難だった赤色レーザーを、当機構が開発した独自の手法によって実現した。

研究では、以前、当機構で独自に開発した量子ドットの自己形成手法 (液滴エピタキシー法) に新たな改良を加えた。その結果、赤色の波長帯で発光するガリウム砒素量子ドットを用いた量子ドットレーザーから、レーザー発振を実現することに成功した。

実現できた理由は、量子ドットの均一性を劇的に向上させる手法を開発できたこと、さらに、その量子ドットを積層することにより、レーザー発振に関与する量子ドットの数を大幅に増加させることに成功したことにある。これにより、電流注入によるレーザー発振を達成した。

この成果により、高性能な量子ドットレーザーが赤色領域にも適用可能となり、情報・医療デバイスなどの高性能化に大きく貢献することが期待される。

本技術の詳細は、英国物理系学術雑誌 Nanotechnology オンライン版に掲載され、冊子版では8月19日号 (Number 33) に掲載される予定である。

「プレス資料中の図4: 量子ドットレーザーの発振特性と発振の様子」の画像

プレス資料中の図4: 量子ドットレーザーの発振特性と発振の様子