色素増感太陽電池で世界最高効率を5年ぶりに更新
2011.08.25
独立行政法人物質・材料研究機構
独立行政法人科学技術振興機構
NIMS 太陽光発電材料ユニットは、JST戦略的創造研究推進事業 (CREST) 研究領域「太陽光を利用した独創的クリーンエネルギー生成技術の創出」、研究課題「色素増感太陽電池におけるデバイス物性に関する研究」において色素増感太陽電池の世界最高効率を更新しました。
概要
- 独立行政法人物質・材料研究機構 (理事長 : 潮田 資勝) (以下「NIMS」という) 太陽光発電材料ユニット (ユニット長 : 韓 礼元) は、独立行政法人科学技術振興機構の戦略的創造研究推進事業 (CREST) 研究領域「太陽光を利用した独創的クリーンエネルギー生成技術の創出」 (研究総括 : 山口 真史 豊田工業大学 大学院工学研究科 主担当教授) 、研究課題「色素増感太陽電池におけるデバイス物性に関する研究」において色素増感太陽電池の世界最高効率を更新しました。
- 色素増感太陽電池の最高エネルギー変換効率は2006年以降11.1%に留まっていましたが、今回、電池の短絡電流密度と開放電圧ともに向上させることにより、変換効率11.4% まで向上することに成功しました。国際的な標準試験機関の公式データとして世界最高値です。
- 今回の色素増感太陽電池における世界最高変換効率の更新は、色素の増感作用を十分に発揮できる新規材料 (増感促進剤) を開発したことに起因します。本増感促進剤を色素増感太陽電池に適用することにより電池の可視光領域における外部量子効率が80%程度に向上し、大きな短絡電流密度を得ることができました。それと同時に、開放電圧も向上できました。従来と異なるこの増感促進剤を採用することにより、変換効率の記録更新が実現されました。
- 今後は、増感促進剤がTiO2における色素吸着状態や電池内部の電荷移動機構に与える影響を調べ、原理の解明を行います。それに基づき、より効果的な増感促進剤を開発することで、より高い変換効率を目指します。
- 今回の研究成果は、2011年秋季第72回応用物理学会学術講演会 (8月29日) において発表される予定です。