グラフェンの新しい伝導制御技術を開発

ヘリウムイオン照射で室温動作スイッチングトランジスタを実現

2012.09.25


独立行政法人産業技術総合研究所
独立行政法人物質・材料研究機構

産総研のナノエレクトロニクス研究部門の研究者らは、NIMSの国際ナノアーキテクトニクス研究拠点(MANA)の塚越 一仁 主任研究者らと共同でグラフェンの新しい電気伝導制御技術を開発した。

概要

独立行政法人 産業技術総合研究所【理事長 野間口 有】 (以下「産総研」という) ナノエレクトロニクス研究部門【研究部門長 金丸 正剛】連携研究体グリーン・ナノエレクトロニクスセンター【連携研究体長 横山 直樹】 (以下「GNC」という) 中払 周 特定集中研究専門員ら、ナノエレクトロニクス研究部門 小川 真一 招聘研究員、ナノデバイスセンター【センター長 秋永 広幸】らは、独立行政法人 物質・材料研究機構【理事長 潮田 資勝】 (以下「物材機構」という) 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点【拠点長 青野 正和】 (以下「WPI-MANA」という) 塚越 一仁 主任研究者らと共同でグラフェンの新しい電気伝導制御技術を開発した。
今回開発した技術は、グラフェンに対してヘリウムイオン顕微鏡を用いてヘリウムイオンビームを照射し、人為的に低密度の結晶欠陥を導入することによって、グラフェンの中の電子や正孔の動きをゲート電極に電圧を与えて変調可能にするものである。このような結晶欠陥の導入による伝導制御はこれまで理論的には予想されてきたが、実験的に室温でオン・オフ動作に至った例はなかった。今回開発した技術は、大面積ウェハにおいても既存の製造技術の枠内で導入が可能である。
なお、この技術の詳細は、2012年9月25~27日に京都府京都市で開催される国際素子・材料コンファレンス(SSDM2012)で発表される。

「試作されたグラフェン素子のヘリウムイオン顕微鏡像」の画像

試作されたグラフェン素子のヘリウムイオン顕微鏡像